准教授 高野先生のこと
「美穂ちゃん!?って……あぁ、お義母さんですか。えぇ……」
発信元は森岡先生の奥さんのケータイだったけれど。
かけてきたのは、どうやら奥さんのお母さんのようである。
陣痛室とやらは携帯電話の使用は厳禁。
第一、産婦さんは忙しくてそれどころではないのだろう。
「んじゃ、悪いけどよろしく頼むよ。駐車場に集合なっ」
森岡先生は教務課と学務課に寄ると言って慌しく出て行った。
結局――
森岡先生は急いで奥さんの待つ病院へ直行することに。
それで、車で来てる高野先生が病院まで送っていくことになったのである。
「ちょうど文学部の辺りを通るから、詩織さんはそこで」
「すみません」
「いや、最短だとどのみちその辺を経由するルートになるから」
そうして高野先生と私も急いで仕度をして、一足先に駐車場へと向かった。