准教授 高野先生のこと
考えてみると、高野先生の車で後ろに乗るのは初めてだ。
「あー、やっべぇー、マジで緊張してきたぁ」
助手席の森岡先生は完全に弱気になっている。
「しっかりしろよ。大変なのは美穂ちゃんなんだからな」
「オレさ、何気に血とかダメなんだわ……」
「はぁ?今更……立ち会うって約束してるんだろ?」
「やぁ、まぁ……でも直前での?棄権はOKらしいし……」
「バカか、おまえは……美穂ちゃんは棄権できないんだぞ」
「それは、まぁ……うーん……」
こうして話しているときの高野先生と森岡先生って――
まるで普通の大学生の男の子たちとあまり変わらないな、って。
先生じゃない先生たちが、私にはとても新鮮でおもしろかった。
とくにいつも丁寧な高野先生のタメ口は、私にはレアなお宝?みたいな。
そのとき――
またまた森岡先生のケータイが元気に鳴った。
「うわっ!またぁ?お義母さんからだよぉ……」