准教授 高野先生のこと
私の普通の毎日の中に、先生が自然に当たり前にいるってことを。
私の心の中の、一番居心地のよい特別な場所に。
先生にはいつも、いつだって居て欲しいってことを。
いっそ……知られてしまいたい。
そう思いはじめている自分に、はっきりと気づいてしまったのである。
目的地は医学部附属病院。
Y大学は典型的なタコ足キャンパス。
医歯薬の学部と病院は文系学部とは別の場所にある。
病院につくより先に文学部のあるキャンパスが見えてきて――
そろそろ私の降りる頃合いが近づいてきた。