Cold Phantom [前編]
「何か…訳ありなんッスね。」
「大した事じゃないよ。」
先輩は小さくそう呟いた。
大した事じゃない…あからさまに解る嘘だった。
俺は先輩の話を待った。
「生まれた時から、私には親がいなかった。勿論居場所も解らない。」
「生まれた時から…それって。」
「捨てられたわけでも、私を生んで死んだ訳でも無い…まぁ、断定は出来ないけど。」
「何か矛盾してるッスよ。その言い方じゃまるで、産みの親が最初からいないみたいに…」
「うん、当たってるかも知れない。」
「当たってるって…」
「私は5年前より以前の記憶を失ってるんだ。」
「大した事じゃないよ。」
先輩は小さくそう呟いた。
大した事じゃない…あからさまに解る嘘だった。
俺は先輩の話を待った。
「生まれた時から、私には親がいなかった。勿論居場所も解らない。」
「生まれた時から…それって。」
「捨てられたわけでも、私を生んで死んだ訳でも無い…まぁ、断定は出来ないけど。」
「何か矛盾してるッスよ。その言い方じゃまるで、産みの親が最初からいないみたいに…」
「うん、当たってるかも知れない。」
「当たってるって…」
「私は5年前より以前の記憶を失ってるんだ。」