Cold Phantom [前編]
ゆっくり静かにカーテンを引いたつもりだったが…
「…あっ。」
「…えっ?」
カーテンの向こうから予測しない女の子の声が上がった。
唸り声の時点で女の子の声だなと言うのは解ってはいたが、まさか起きていたとは思っていなかった。

「えっとその、お、おはよう。」
「あ、はい。おはようっす。」
女の子は何やら状況を掴みきれていない様子だった。
俺がベッドから体を起こした時の様に…

見知らぬ女の子との間に流れだした沈黙。
それを破ったのはその女の子の方からだった。
「ここって保健室…だよね。何でこんな所にいるんだろ?」
「えっ、先輩もっすか?」
「先輩?…あっ。」
俺はその女の子に名札を近づけた。
学年はその名札の色で区分けされていて、一年生は赤、二年生は青、三年生は緑になっている。
俺は赤で女の子の緑、つまり三年生だった。
「そっか、後輩君だったんだね。どおりで見ない顔だと思った。」と先輩は少しだけ微笑む。
その微笑みに、俺も釣られて微笑み返す。
俺はそんなやり取りをしていて思った。
(何か、可愛い先輩だなぁ。)っと…
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