【奏】春に降る雪
『ハルが好きだからってかばうことねーよ』




孝二先輩の一言に固まる私。

何で?いつから気付かれてたの?

グルグルと焦る気持ちが頭の中をめぐって言葉に出来ない。




『いつもハルばかり見てるって、茜ばかり見てる俺だから気付いたんだけどさ』




え……?それって




『茜が好きだよ。ハルなんか止めて俺にしとけよ』





孝二先輩が私を?





ペンを拾ってた最中でしゃがみこんだままの私たち。




孝二先輩が私の腕を掴んで立ち上がった。





向かい合わせに立たされ、気まずさから俯いてしまう。




『俺じゃ駄目か?ハルなんかすぐに忘れさせてやるよ』




孝二先輩の口から出たハルの名前にピクンと体が反応して顔をあげた。




ハルって名前が出ただけでこんなにも反応してしまう。





「………ごめんなさい」





こんなにハルの事好きなのに、孝二先輩とは付き合えないよ。





『ハルのどこがいいの?

アイツ、思わせ振りな態度とか言葉言ったりする所あるだろ?

それで騙されてるだけなんじゃないのか?』





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