【奏】春に降る雪
そんな私を見ながら孝二先輩は話しかけてきた。





『なぁ、ハルと何かあった?』





ガシャーン



ハルの名前に動揺して、デスクの上のペン立てを落としてしまった。




これじゃあ何かあったって態度で示してるようじゃないの。




「…ちょっと口喧嘩しちゃいました」





床に散らばったペンを拾い集めていると孝二先輩も手伝ってくれる。





『やっぱり。今日のハル、やたらと茜を気にするくせに、話しかけないからおかしいと思ってたんだ。

昨日花見すっぽかしたのもそれが原因?』





「……すみませんでした」




謝る私に拾ったペンを渡しながら大きく息を吐いた。



『俺に謝ることじゃねーし。

……ハルに泣かされたのか?
よく見たら目が充血してる。昨日泣いたんだろ?』





そっと目元に親指を当てられて体がビクつく。





『ハルに何か傷つく事言われて、泣いたんだろ?』






私は孝二先輩の手をそっと払って首を横に振った。





「違います。私がハルに酷いこと言っちゃったんです」







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