【奏】春に降る雪
先週末の夜、最後の戸締まり確認をハルと二人でしていた時だった。





「瞳子先輩に気持ち伝えたくなったりしないの?」




私はハルと二人きりになると好きって伝えたくなる時がある。

ハルは違うのかな?って思って聞いてみたんだ。





唐突に聞いた私に、『何で急にそんな事聞くの?』なんて言いながらもきちんと答えてくれた。





『俺なんか手が届かない存在だってわかってるんだ。
彼氏だっているってわかってるしさ。


俺はさ、瞳子さんが笑ってくれるだけで満足なんだよ』






驚いたの。




積極的に瞳子先輩に声かけたりしてたし、憧れ以上の気持ちだと思ってたから。



ううん、それよりも……



ハルが私と同じ考えだって事にビックリしたんだ。





私も





ハルが笑ってくれてればいいって思ってたから。




そう思って伝えられずにいた好きって気持ち。





ねぇ、ハル?




似たような考えの私たち、上手くいかないかな?





瞳子先輩に“憧れ”以上
の気持ちが無いなら……






……私頑張ってもいい??




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