パセリな彼女がついた嘘
計画性のない僕は雪乃に手配してもらった航空券を持ち、
ホテルの名前だけを覚えて、那覇にやってきた。

タクシーでホテルに着いてチェックインを済ませ、
雪乃に到着の報告メールをして靴のままベッドに転がった。

きっとこの姿を見たら、彼女は怒ると思う。


一人旅などしたことのない僕だけれど、
こんな風に今晩会える彼女の姿を色々と想像すると、
少しも寂しくなかった。

目を閉じて耳を済ませると、
廊下を走ってはしゃぐ子供の声と、
大人の落ち着いた笑い声が時折通り過ぎていく。

僕はいつの間にか眠ってしまった。

『ひょっとして着いてからずっと寝てたの?』

電話口で呆れたように雪乃が言った。

「うん」

『まぁそんなことだろうと思って、
19時にホテルのレストラン予約してあるから、
降りてきてね』

雪乃が勤める航空会社系列のこのホテルは、
レストランの味に評価が高いと彼女は言っていて、
彼女は僕を、そこに連れて行きたがっていた。
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