パセリな彼女がついた嘘
チキンライスの上に、
フットボール形のオムレツが上品に載せられていて、
その中心にナイフで一直線の切れ目を入れると、
ダムが決壊するかのように半熟なタマゴの雪崩が起こり、
お皿より直径を少し小さくして、
メニューの名の如くたんぽぽのようにそれを覆う。

彼女はそのソースをデミグラスソースにするか、
ケチャップにするかでいつも迷っていて、
僕はどちらでもいいから両方頼み、シェアしようと言っていた。


彼女は僕の拘りのなさに
無味乾燥を覚えるかの様にため息をついていたけれど、
食べたいものが両方食べれることについて、
どうして嬉しく思わないのか僕はいつも不思議だった。
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