パセリな彼女がついた嘘
翌朝、下がる気配を見せない熱に降参して上司に病欠の連絡を入れると、
次に意識が戻ったのは昼前だった。

雪乃からは容態を伺うメールが来ていて、
僕はそれに休んだ旨を書いたけれど、病状は軽く伝えた。

昨晩買った水も底をつくまで間もない。

起き上がってからトイレまでの距離が、
初めて自宅を広いと錯覚するほどに感じられた。

洗面所で顔を洗うと悪寒が襲い、ベッドに戻って布団を頭から被った。

このようにして情けない僕は、誰かに救助の要請をせざるを得なかった。


「えっちゃーん、大丈夫なのー?」


そう言って救助隊が救援物資を持ってやって来た頃、
いくらか熱は下がり、外もすっかり暗くなっていた。
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