ギア・ドール

「だったら、乗らなきゃいいでしょ?」


 菫の言葉。


 非常に的を射抜いている思う。


「これだから女は・・・。」


 ジン爺さんは通信機越しに大きくため息をつくと。


「動かさなければ、マグルのご機嫌が悪くなるだろう?だいたい、女のお前には男のロマンはわからねぇよ。ビンテージモデルに乗ってこそ男って言うのは磨かれるものよ・・・。」


 ウソだ、絶対ウソだ。このジジイ・・・。


「それで、事故にあったら、元も子もないやろう?」


 他の機体の索敵機能を誤魔化すステルス加工に、確実に時代遅れとなったひ弱過ぎる索敵機能。


 逆に言うなら、今までよく事故にあわなかったと思う。


「それをカバーするのが腕の見せ所だろう?」


 自慢げに話すジン爺さん。


 それがないから、ステルス加工を取れと言ったのだが・・・。


「長生きするよ。お前は・・・。」


 思わず、ため息が海人の口から漏れた。


「そんなものに興味はないな・・・。なぁ、そんなことより、お前たちこれから紫卯基地に行くんだろう?」


 ・・・・・?確かに、そうだが・・・。


「爺さんは行かんのか?」


「まぁ、ちょっと野暮用でな・・・。それより、お前たち知ってるか?この前の紫卯基地防衛線で、幽霊が出たって話?」


 爺さんの唐突な発言に、一瞬言葉に困る。


 ・・・・・・・・何を言っているんだ、このジジイは?

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