ギア・ドール
「あぁ、私知ってる・・・。何でも、巨大な剣を持って、敵味方あわせて100体以上のギアをなぎ払ったんでしょ?本当はこの戦い、最初の一週間は、圧倒的アトランテが優勢だったにもかかわらず、その一体が現れたことによって戦局がたった三日で激変したって・・・。」


 菫の言葉。情報源はどこからか分からないが、海人には初耳だった。


 敵、味方合わせて・・・ということは、おそらくどちらかの軍に所属はしていたのだろう。


 しかし、何かしらのきっかけで、両軍に牙を向けた・・・。


 ・・・・・・・・・・どうして?


「まぁ、噂には尾びれ背びれがくっつから、なんとも言えないんだけどな・・・。」


 ジン爺さんの感慨深い言葉。


 確かに、一体のギアが同じギアを百機も墜とすなんて考えにくい。


「ンで、そのギアの幽霊がどうかしたの?」


 菫が話を戻す。


「あぁ、実はその機体、ちょっと俺が今引き受けている仕事と少し関係ありそうなんでな・・・。もし紫卯基地に行って、何かしらの情報がつかめたら、俺に教えてくれ。」


 そんな得体の知れない機体の情報が気になる、仕事とはいったいなんであるのか?


 気にはなるが、おそらく聞いても答えてくれはしないだろう。


「報酬は?」


 一応聞いてみる。

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