ギア・ドール

「くそっ!」


 心から出た、言葉にならない毒づき。


 いったい、いつまでこんな悲劇が繰り返されるのだろうか・・・。


「鈴蘭・・・一体、いつまでこんなことが繰り返されるんだろうね?戦争さえなければ、アナタも・・・きっと・・・。」


 それはきっと、途方もない願い。


 戦争は実際に起こり、鈴蘭は一度死んだ。


 ここにあるのは、鈴蘭の意識・・・ただそれだけ・・・。


 もう、彼には触れることも、声を聞くこともできない・・・。


「戦争なんて、この世界からなくなればいいのに・・・。」


 それは、この世界で残された全ての人の願い。






 思想、権威、名声、金・・・それらは、本当に命よりも価値があるものなのか・・・。




 私には、分からない・・・・・・・・・・・・。


< 93 / 232 >

この作品をシェア

pagetop