西の狼


「待て」



二人を通さない門番の更に後ろから声がした。


振り返った門番は、そこにいる男を見つけて血の気が引いた。


「レ、レオール様!?」


「その二人は私が呼んだ。お通ししろ」


「あ、はっ!失礼しました!!」



門番はレオールに言われてすぐに二人を中に通した。


二人はレオールについて庭を歩いた。




「………何故来たのかは、聞かないでおこう……今すぐ立ち去れ。そして、二度とこの街に近付くな……仲間を連れて、この街から出て行くんだ」



振り返ってそう言ったレオールは、凄まじい気迫を放っていた。


二人はその気迫に少したじろいでしまった。


「………それは、儀式を始めるからか?」




「……あの男が喋ったのか…余計なことを………」


「人間の命を犠牲にしてまで、不老不死になりたいのか?」



「………これは、君達には関係無い。どうしても邪魔をすると言うのなら………」




レオールはそう言いながら腰の剣を抜いた。


その瞬間、三人の間を突風が吹き荒れた。



「…………私が相手だ……」


どうやら、レオールの魔力で風が巻き上がっている様だ。


「……本気の様だな……ミカエリア、お前魔法は使えるのか?」



「……足手まといにはなりませんよ?」


「……上等だッ!!」




二人は武器を抜いた。先に仕掛けたのは、レオールだった。



二人の足元から、黄金の槍が突き出たのだ。

二人は飛び退いてそれをかわしたが、今度は空から黄金の槍が降って来た。



今度はそれを魔法で撃ち落とした。



「なんだこの魔法は……ッ!こんな魔法聞いた事ないぞ!」



< 144 / 182 >

この作品をシェア

pagetop