西の狼
「待て」
二人を通さない門番の更に後ろから声がした。
振り返った門番は、そこにいる男を見つけて血の気が引いた。
「レ、レオール様!?」
「その二人は私が呼んだ。お通ししろ」
「あ、はっ!失礼しました!!」
門番はレオールに言われてすぐに二人を中に通した。
二人はレオールについて庭を歩いた。
「………何故来たのかは、聞かないでおこう……今すぐ立ち去れ。そして、二度とこの街に近付くな……仲間を連れて、この街から出て行くんだ」
振り返ってそう言ったレオールは、凄まじい気迫を放っていた。
二人はその気迫に少したじろいでしまった。
「………それは、儀式を始めるからか?」
「……あの男が喋ったのか…余計なことを………」
「人間の命を犠牲にしてまで、不老不死になりたいのか?」
「………これは、君達には関係無い。どうしても邪魔をすると言うのなら………」
レオールはそう言いながら腰の剣を抜いた。
その瞬間、三人の間を突風が吹き荒れた。
「…………私が相手だ……」
どうやら、レオールの魔力で風が巻き上がっている様だ。
「……本気の様だな……ミカエリア、お前魔法は使えるのか?」
「……足手まといにはなりませんよ?」
「……上等だッ!!」
二人は武器を抜いた。先に仕掛けたのは、レオールだった。
二人の足元から、黄金の槍が突き出たのだ。
二人は飛び退いてそれをかわしたが、今度は空から黄金の槍が降って来た。
今度はそれを魔法で撃ち落とした。
「なんだこの魔法は……ッ!こんな魔法聞いた事ないぞ!」