西の狼
「これは……」
それは、直径3cm程の大きさの菱形の水晶だった。
所々に銀で少し装飾がされている。
レオンは浮かんでいるそれを手に取った。不思議と、人肌の様な暖かみを感じた。
「それは、『盟約の瞳』といいます。ワルキュリアの一族の郷への道を示してくれるでしょう………願わくば、より良き明日の為に……期待していますよ、約束の皇子殿……」
「!?」
レオンが顔を振り上げた時には、もう『帽子屋』の姿は無く、ただ数枚の木の葉が散っているだけだった。
二人はそれから互いに交代しながら休み、見張りを続けた。
夜が明けて、太陽が少し昇った頃、四人は再びワルキュリアの一族の郷を目指して進んだ。
「………あいつは、なんで俺が約束の皇子だと知っていたんだろうな……」
「さぁ……何か、タダものでない雰囲気を感じましたが、ハッキリとは断言できませんねぇ……まぁ、害は無いと思いますよ?」
「………だと、良いんだけどな……」
レオンは昨夜貰った盟約の瞳を掌で転がしていた。
「………何か、あったんスか?」
「ん?あぁ………ちょっとな……大丈夫だ。きにするな」
「………?」
四人は生い茂る木々を押し退け、更に奥へと進んで行った。
暫く進むと、突然目の前に薄緑色の透明な壁の様なものが現われた。
「………これは……」
「……結界の様ですねぇ……どうやらこの先が、ワルキュリアの一族の郷の様ですねぇ……」