西の狼
その時、レオンの掌の盟約の瞳が発光し出した。
「な、なんだ!?」
盟約の瞳が一際強い光を発した瞬間、その光が光線となって結界に突き刺さり、人が通れる程の大きさの穴が空いた。
「……結界が…破られた、のか……?」
レオンが自分の掌を見ると、盟約の瞳はまだほのかに発光してはいるが、特に何の反応もない。
「……行くか……」
四人は、盟約の瞳が空けた穴を通って結界の奥へと進んで行った。
「…………ム……?」
生い茂る木々が陽光を遮る森の奥……その洞窟の様な場所に、彼女はいた。
白いローブを身に纏い、皺の目立つ手に持った木で火をいじっている。
その側には、もう一人………若い男が岩壁に寄り掛かって立っている。
「……どうかなさったか、長老殿?」
「………何者かが、結界を破った様なのじゃが……妙じゃな……」
「……何か腑に落ちないことでも?」
「…………結界は、傷一つついておらん……まるで結界が自分から通した様じゃ……」
「……………」
「………誰か見に行かせるかのぉ……」
彼女……長老と呼ばれた女性は、重そうに立ち上がって、持っていた木を火に投げ入れた。
立ち上がったその姿は、側の若い男の腰辺りまでしかない。
長老はゆっくりとした足取りで洞窟の外に出た。
「………フォルカス!!フォルカスはおらんか!!」
長老が一言そう叫ぶと、木々の間を縫って何かが駆けて来て長老の前に降り立った。
それは、軽装の鎧と白いマントを着た女性だった。手には同じく白い槍を握っている。