ただ伝えたくて

観覧者を乗り終えると、もう夕方になっていた。

「もう夕方になっちゃったね」

「そうだな、そろそろ帰るか」


2人は遊園地を出て駅に向かって歩き出した。

「そういえば、2人とも今頃どうしてるかな?」

そう理沙が言うと、圭はそうだなと言って自分の携帯を取り出した。

すると圭は素早く

『俺たち帰るから。もっと楽しんでけよ!』

と打って送信すると、携帯を閉じた。



駅に着いて電車に乗ると、2人はたわいもない話しをしていた。

「そういえばさ、新しく映画館できたの知ってるか?」

「うん!せっかくだからCMでやってるあの新作見に行きたいんだ」

すると圭はその理沙の言葉にすぐに反応した。

「あ、それ俺も気になってたんだ。面白そうだよな」



その時、それを聞いた理沙は圭にもっと近づきたいと思っていた。

「あのね、どうせなら一緒に映画見にいかない?」

理沙はそう言っている自分に驚いていた。

その言葉に圭は

「じゃあ、一緒に行くか」

嬉しそうに答えた。

「うん!」

理沙も嬉しさで自然と笑顔になっていた。



そんな会話をしていると、いつの間にか電車は駅に到着していた。

「ほんとに送ってかなくて平気か?」

圭は首をかしげて言った。

「うん、結構近いから平気だよ」

「そっか、じゃあまたな。映画の件はメールするよ」

圭はそう言って軽く手を振ると、走って帰っていった。

「ばいばい……」

理沙は手を振りながら、初めて感じる気持ちを抑えられずにいた。
< 10 / 13 >

この作品をシェア

pagetop