5年先のラブストーリー-この世のしるし-
心配する陽子とまゆみは直樹に近づいた。
すると、着彩仕立てのデザイン画の一部が涙で滲んでいた。
「・・・先輩・・・」
声をかける陽子にまゆみは首を振り、今の自分達では何もしてあげられないと、もどかしさを感じていた。
この時、直樹は寺田の罵声のせいではなく、自分との葛藤に負けそうになっていた。
一方、玲子は学校では完全に孤立してしまい、余計な事を考えては、勉強に集中出来なくなっていた。
「安本さん、安本さん」
「は、はいっ!」
「何をボーっとしているんですか?」
「すみません・・・」
「次、テキスト70ページから読んで下さい」
「は、はい・・・脳に高度な障害を・・・知能は3歳児程度でしかなく・・・
応対する側は、それを理解した上で・・・・・」
玲子は居ても立ってもいれず、講義が終わるや否や直ぐ様電話をかけた。