5年先のラブストーリー-この世のしるし-


そんな中、直樹は恵子の指にキラッと光るものを見つけた。


「恵子、指に何をつけているんだ?」


それを恵子は自慢げに見せた。


「これは!まだ持っていたんだ!!」



「当たり前でしょう。大切な宝物なんだから」


それは直樹が結婚式当日に落ちていた空き缶のプルタップを石で叩き、恵子の誕生石ペリドット(あの時、とっさにポケットに入れた緑色の石)を留めて作った結婚指輪だった



二人を結びつけた運命の石


「この指輪のお陰で今の私があるの。あなたに左手の薬指につけてもらった時なんて私は幸せなんだろうって、そして生まれてくる名もなき小さな命に神様は微笑んでくれた。この指輪はこれからも私達三人を見守ってくれる大切な神様なんです」


この時、恵子はそのリングと直子の為に直樹が描いていた絵を調和させようとしたリングをスケッチブックに残していた。



ただ、それは明らかに未完成だった。
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