5年先のラブストーリー-この世のしるし-
-移植当日を迎えた-
直樹が病院に着いた。
院内は妙に静かだった。
顔なじみの看護師は直樹と目が合うと、ただ礼をして足早に去った。
病室へと足を運んだ直樹
その直樹の目に真っ先に飛び込んで来たもの
それはベッドに横たわり顔には白い布をかぶされた恵子の姿だった。
「午前7時丁度、恵子さんは安らかな眠りにつきました」
直樹はそっと白い布をとり、恵子の顔を見つめた
「うそ・・・うそだろ・・・?嘘だと言ってくれー!おいっ・・・
おい恵子!目を覚ませよ・・・!何か言えよ・・・言ってくれ」
この現実は、さすがに直樹にも受け止める事が出来ず異常なまでに狂気し喚いた。
「おーい、おーい」
抜け殻のような小さな声で恵子を呼び続けた。