あの日の夕日が優しかったので
「ずっとここにいたの?」
「うん、ごめん。」
いや、いいの、いいのと
顔の前で手をブンブンと振る。
リアクションでかいなーと
ボンヤリ思ってたら
その手がピターと止まり、
僕と目があった。
(やべ)
反射的に目を逸らしたが、おそかった。
誰?と春に視線で問いただす姿を
横目で追う。
(めんどくせー)
なるべく人と関わりを持ちたくない
僕の願いは虚しく。
「かず。」
と春が一言答えた。
(あーあ)
「かず、くん?」
と座り込む僕の前に
わざわざしゃがみこんで
よろしくね。
と男前な顔して笑った。