あの日の夕日が優しかったので


「ずっとここにいたの?」

「うん、ごめん。」


いや、いいの、いいのと
顔の前で手をブンブンと振る。

リアクションでかいなーと
ボンヤリ思ってたら
その手がピターと止まり、
僕と目があった。



(やべ)



反射的に目を逸らしたが、おそかった。



誰?と春に視線で問いただす姿を
横目で追う。




(めんどくせー)



なるべく人と関わりを持ちたくない
僕の願いは虚しく。



「かず。」

と春が一言答えた。




(あーあ)








「かず、くん?」


と座り込む僕の前に
わざわざしゃがみこんで





よろしくね。




と男前な顔して笑った。







< 47 / 56 >

この作品をシェア

pagetop