紅い記憶
 不審に思い、桜を自分の後ろにかばいながら、稔はその男性に近づく。


「あの、このアパートに何かご用でしょうか?」


 その男性は稔に気づくと、はっと顔をあげて声を発した。



「お前が相澤稔か?」


 その男性は門の前に幾つもある郵便受けについている、二人の家の表札を指差しながら言った。


 それに対し、睨むように男性を見ながら言う。



「初対面の人に『お前』はないでしょう?あなた誰ですか?」


「僕か?僕は月山和樹だ。この辺に住んでいる、僕の妹の月山桜を知ってるだろう?」
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