契約の恋愛
何かが引っ掛かる。

ずっとつっかえて取れそうで取れないようなもどかしさ。

…怖い。

背中を伝う冷たいものに心ごと体を震わした。

始めてだった。

陸飛も亮也も、あんなに遠くに感じたのは。

怖いと、素直に感じてしまったのは。

色のない瞳は、死んだように光の反射で輝いていた。
傷だらけの体は、今まで抱えていたものの大きさを気付かされるのには、充分だった。

亮也は何も変わっていなかった。

あの猛獣のような瞳と行動力は、誰もコントロールできない。

親友の陸飛でさえも。
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