契約の恋愛
《色々…ですか。》

ポツリと呟く紀琉の声は、どこか遠くから聞こえているように感じる。

けっして姿を見せてくれない。

「うん。ねぇ…紀琉。」

私は、体制を変えてソファーの上で体育館座りをした。
紀琉は、返事もせずにただ黙っていた。

「璃雨の友達はね、捨て子でずっと施設育ちだった孤児の子がいるの。男の子なんだけど。その子は、そのうち新しい家庭が迎えにきてくれるんだけど、最近自殺して死んじゃったの。」
< 141 / 236 >

この作品をシェア

pagetop