契約の恋愛
でも、どうでもいいか。

璃雨は、そこで考えをストップさせた。

深く考えても、璃雨にはどうにもできない。

そんなことを呪文のように唱えながら。

「璃雨、今日放課後どうするの?」

教室に帰る支度を済ました雪葉にそう訪ねられ、璃雨は昨晩から考えていたことを素直に告げた。

「…K大に行ってこようかなって…思ってる。」

その答えに雪葉の表情に、歓喜が浮かぶ。

璃雨は適当に笑い返した。
空っぽの心は、ただ無くなるのを望んでいたわけじゃないと…なんで気付けなかったんだろう。

雪葉の愛の形や、本音に少しでも耳を傾けていたら、罪のない命を、未来を摘み取ることにはならなかったはずなのに。

風にまぎれ、流れていった雪葉の真実は居場所もなく彷徨っていた。

璃雨はそれを、聞き逃してしまったんだ。

この時は、想像もしていなかったの。

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