契約の恋愛
いい加減俺ら兄弟は邪魔者扱いされているんだ。

これ以上立場を悪くしたくない。

特に…琉衣の立場は。

黙々と草を抜く奴は、琉衣の甲高い声に顔を上げ、立ち上がった。

「お~!!琉衣!!おはよう。」
「おはよう~!!恵流お兄ちゃん、お兄ちゃん呼んできたよ!!」

琉衣はそう言って、恵流に抱きついた。

恵流は、満面の笑顔で偉いなぁ~と琉衣の頭を撫でながら仏頂面の俺に視線を向けた。

太陽の光が、恵流の明るい茶色の髪を反射させている。

また髪染めやがったな…。
恵流は俺を見るなり、無邪気に笑った。

「お~すっ、紀琉!!今日も清々しいくらいの仏頂面じゃん。早くこっち来て手伝え!!」

早くと必要以上に急かしながら手招きする恵流。

琉衣は既に、草抜きに取り掛かっていた。

素直すぎんだよ…琉衣の奴。
俺と一つしか年は変わらないのに、性格は真逆の琉衣。

顔は似ているらしいけど…。

子供っぽい性格に明るく、好奇心旺盛で、行動力もある。

バカみたいに単純で、素直のくせに頭はいい。

顔もそこら辺の女子には全然負けておらず、美人。

一度、芸能界の方で声がかかっていた位だ。

俺も何回か掛けられてはいたが、興味がまるでなかったので断った。
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