契約の恋愛
幸せななんて、自分には一生来ないんじゃないかとか。

苦しい現実と、痛みだけの結末がそうやって俺を傷めつけていた。

夢の一つでもあれば、結構違うと思うんだけど。

"あんたなんか、生まれてけなければよかったのよ"
また、あの声が響く。

俺を支配し続ける、縛り続けるあの声が…。

生きる意味は何だ?

自問自答をしてみる。

俺という命の元にも見放された翼は…これからどこに行けばいい?

答えのない苦しみなんて、ないとは分かる。

けれど、何度自分に聞いても分からないこの問い。

妙に焦っていた俺は、夢に真っ直ぐな恵流が正直疎ましかった。

うらやましかった。
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