契約の恋愛
俺にも、光があたってほしかった。

大切な人に分けてあげられる程の、溢れんばかりの温かな…光が。

今は、自分自身の力で答えを見つけなければいけないけれど…。

「でもさぁ。」

恵流が溜まったものを吐き出すような声を出した。

見ると、恵流はいつの間にかだらしなく地面に体を預けている。

明るい髪も、まだ地面の色にはかなわなかった。

「なーんか、生半可な事じゃないよなぁ。こんなバカな俺が、教師になりたいだなんて。」

そう告げる恵流の瞳は、どこかに影を持っていることを俺は知っている。

その影を上手く隠す恵流の器用さも気丈さも含めて、俺は疎ましかった。

俺は手にもった草を無造作に放り投げる。

「…絶対無理だって言われた大学に何とか受かって?無理かもなんて言うんですか、恵流さん。」
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