契約の恋愛
言葉にしなくても分かる。
こいつは顔に出やすいから。

俺は適当に相づちをうって、残っていた食器を並べ始めた。

周りの奴らは、会話をする事もなく黙々と作業をしている。

中にはちらほらと仲良さそうに話す奴らもいるが、それは珍しい奴らだった。

施設内で一体となって作業する時は、大体の奴らは黙って作業をする。

まるで人形のように。

それには俺ら施設に住んでいる子供達にとって、悲痛な理由があるのだ。

そんな事言われずとも知っているはずの恵流は、そんな事知るかと言う風に、黙って食器を並べる俺にからんでくる。

「紀ー琉っ。」

「…何。」

「おーっ。こぇー。さっきは上手くしてやったのに、何だその態度は。」

俺はその言葉に、声をつまらせる。

さっきというのは、恐らく北宮から琉衣を逃がさせた時の事だろう。

俺は渋々口を開いた。

「どーもありがとうございました。」

てか、大体俺だってお前の恋バナ聞いてやったじゃねぇかよ。

そんな本音を押し殺しながら、俺は食器を並べ終えた。

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