契約の恋愛
恵流は別にいいよと言いながら、遠くでご飯を入れる琉衣を見つめた。

その視線に俺も気付き、琉衣を見つめる。

琉衣は、施設内で一番大人しい女の子、飯田雨と楽しそうに話をしている。

あいつにとって人と接するということはどういう意味を持つのか…そう気になるほどの幸せそうな笑顔だった。

その笑顔を壊さないように守っていくことが、俺の存在意義なのだが。

恵流は、本当に遠いものを見るかのように、目を細めた。

「何か…あんな良い子なのに何であんな仕打ち受けなくちゃいけないんだろうな。」

呟くように恵流が言った。
仕打ちというのは、北宮の嫌がらせだけを差すのではないのだろう。

俺達兄妹は、この施設内では邪魔者だ。

当然の如く、俺達兄妹を嫌う奴らもいる。

そいつらの嫌がらせのことだろう。

俺も未だに受けているが、年齢も上でしかも怖そうな雰囲気を放っている為、あまり人は寄ってこない。

でも、琉衣は違う。

琉衣は人が良すぎる。

誰にでも笑顔を振りまき、誰にでも同じように接する。

良い事だが、悪い事。

琉衣は、施設内では完全になめられていた。

もちろん純粋に琉衣に好意を持つものもいるが。
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