契約の恋愛
私は、人に弱さを見せたことはない。
それゆえに、人の弱さに気付くこともない。
ずるい人間。
だから、みんな私を置いていってしまったのかな。
璃雨が璃雨しか見ないから。
「…お借りしました…。」
濡れた長い髪をバスタオルで拭きながら、風呂場から出る。
紀琉はびしょ濡れの服のまま、ベランダ付近で街を眺めていた。
物音にようやく気付き、ゆっくり振り返る。
「あぁ…。終わりましたか。」
感情がこもっていないような、紀琉の声に多少ビクつきながら、私はうなづいた。
長い髪がうっとうしい。
水滴がポタポタと落ちて、これじゃ何の為にシャワーを浴びたのか分からない。
いつもはまとめて、風呂場から出るのだが、不運なことにゴムを忘れた。
私はバスタオルで長い髪を上手くまとめて首をかしげた。
「あの…。」
「はい?」
「…ドライヤー…貸してくれませんか?髪が邪魔で。」
そういうと、紀琉は微かに微笑んで小さな部屋へ案内してくれた。
中を見てみると鏡やら香水やらがある。
「そこの引きだしにあります。自由に使って下さい。」
「……はい。」
「では、私もシャワー浴びてきます。でわ。」
パタン
……。
私は一人きりになった部屋の中を見舞わす。
それゆえに、人の弱さに気付くこともない。
ずるい人間。
だから、みんな私を置いていってしまったのかな。
璃雨が璃雨しか見ないから。
「…お借りしました…。」
濡れた長い髪をバスタオルで拭きながら、風呂場から出る。
紀琉はびしょ濡れの服のまま、ベランダ付近で街を眺めていた。
物音にようやく気付き、ゆっくり振り返る。
「あぁ…。終わりましたか。」
感情がこもっていないような、紀琉の声に多少ビクつきながら、私はうなづいた。
長い髪がうっとうしい。
水滴がポタポタと落ちて、これじゃ何の為にシャワーを浴びたのか分からない。
いつもはまとめて、風呂場から出るのだが、不運なことにゴムを忘れた。
私はバスタオルで長い髪を上手くまとめて首をかしげた。
「あの…。」
「はい?」
「…ドライヤー…貸してくれませんか?髪が邪魔で。」
そういうと、紀琉は微かに微笑んで小さな部屋へ案内してくれた。
中を見てみると鏡やら香水やらがある。
「そこの引きだしにあります。自由に使って下さい。」
「……はい。」
「では、私もシャワー浴びてきます。でわ。」
パタン
……。
私は一人きりになった部屋の中を見舞わす。