契約の恋愛

あぁ。璃雨の時間は止まった。

｢…ありがと。｣
傘に打ち振る雨の音が、心地いい。
璃雨を許してくれる音。

｢はぁ。とりあえず着替え持ってきといて良かった。後で着替えるからね。｣

お母さんみたいな雪葉の口調に緩む口元。

｢はぁい…。｣

｢よしっ。じゃあ行くよ。｣｢はぁい…。｣

今日、璃雨達が向かう先は合コンだった。大学生やら高校生やらでごちゃ混ぜの男子組らしいが、女子は璃雨達の他に５人程、知り合いの人達がいる…らしい。
璃雨達は、集合時間に遅れているので、勝手にあっちは盛り上がっている所だろう。

雪葉には彼氏がいるが、この合コンは璃雨が無理を言って開いてもらったのだ。
璃雨は、合コンなんてするキャラじゃないし興味もあまりなかった。

けれど、いつか近い内に死ぬつもりだから、その前に若者として合コン位は覚えておこうかなと思ったんだ。
意味はあまりない。

けど、雪葉は一人でいけると言い張る璃雨を無視して、心配だからとついてきたんだ。