契約の恋愛
…そんな死に方はしたくないかな。

私は、ずぶ濡れのままその場から立ち上がった。

制服には水が染み込んでいて、気持ち悪いし、重苦しい。

それでも雨に濡れるのは、光と対極の璃雨の存在を、在るものとするため。

璃雨は、雨の中だったら迷いなく生きていける。

なんて言っても、誰も理解してくれないけど。

…遅い。もう30分は待った。バックから防水のケータイを取り出す。

6時31分。もう辺りは暗くなり初めて、人も多くなり始めた。

待つのは苦じゃない。

けれど…。

「寒い…。」
体力はもってくれない。

完全に冷えきった体は、いち早く温度を欲しがっていた。かと言って、こんなずぶ濡れのままどこへ行けと。

雨宿りするとこないかな…
周りをキョロキョロと見渡し、ピョンピョンと跳ねていた時、やっと来た。

璃雨の親友の
板口 雪葉が。

「璃雨っ。」
ピンクの傘を指して、格好は制服のまま。
長い、璃雨より明るい髪をギャル巻きにして2つで結んでいる。

「ごめぇん。バイト長びいちゃって。本当ごめん。」
「いいよ。普段なら早い時間じゃん。しょうがないよ。」

雪葉は放課後、彼氏のバイト先でバイトをしている。
カフェだっけ。
今日は、ある理由で雪葉はバイトを切り上げてここにきた。

「てか、あ~あ。もうこんなにずぶ濡れになっちゃって。今日位は傘指してこいって言ったのに。」

雪葉はそう言いながら、私を傘の中に入れてくれた。
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