契約の恋愛
合コンの場所についてからは、想像以上につまらなかった。

男もそりゃいるし、かっこいい人もいるけど、常に喋らないといけないし、男達の話も大して楽しくなかった。

ベッタリ璃雨の体に、くっついてくる人もいたしとにかくうざかった。

もう、耐えられない。

限界まで、とうとう来てしまい璃雨は、ちょっとトイレと言って抜け出した。

雪葉を見ると、案外楽しんでいるようだった。

「…はぁ。」

店の外で、壁にもたれてしゃがみこむ。

ワンピースなので、少し足がスースーしたが気にしない。
雨は勢いを増して、降り続いている。ギリギリ膝に雨の水滴がかかる。

ヒヤッとするが、結構気持ちいい。

合コンというものが、あんなにつまらないものとは思わなかった。

こんなもん、死ぬ前に覚える必要もなかった。
……。
雪葉は璃雨が死のうとしているのを知らない。
夢にも思っていないだろう。

私が、何もかも消えてしまえばいいと願っている事も。彼女は知らない。

現実がどんなに残酷か、考えてみた事がある?

現実がどれ程の人を痛めつけているか、考えてみた事がある?

そんな事聞いたって、雪葉には絶対分からない。

一人きりの人間の気持ちなんて、きっと分からない。
死にたいと思う人間の気持ちなんて、雪葉には分からない。

なら、知らなくていいと思った。私の事、何も知らないまま生きていけばいい。
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