契約の恋愛
友達がどういうものか、璃雨には分からなくなってた
愛される事がどういう意味を持つのか、璃雨には分からなくなってた。

死んでもいい。

けれど、せめて死ぬ前に、璃雨が生まれてきた意味が欲しかった。

それだけが欲しかった。

…もうそろそろ、戻ろうかな。

雨をしばらく見つめた後、私はおもむろに立ち上がった。

せっかく璃雨の為に開いてくれた合コン。
途中で投げ出すわけにはいかない。
璃雨だって、それくらいは分かる。

そう思い、振り向いた時だった。

背後に、一人の男が立っていた事に気付いたのは。

…いつの間に?
さっきまで私の目の前には、人もいなければ気配もなかった。

それなのに、この男はその場所に立っている。
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