契約の恋愛
ようやく食堂についた。

今はちらほら人が見えるだけで、結構地味な雰囲気が流れている。

私の存在に気付いた生徒が、また視線を送ってきた。
…気まずい。

とは言っても、探さなくてはいけない。
私は気乗りしない足取りで食堂中を見渡した。

視力はいい方だが、紀琉らしき人は見当たらなかった。

はぁ…。
自然とため息が出てくる。
…どこ行っちゃったんだろう。
いや、どこにいるんだろう。
アドレス聞いてないから連絡も取れないし。

帰っちゃったのかな。

ふぅと軽くため息をつき、食堂を出ようとした所だった。

ある男に声をかけられたのは。
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