ずっと抱いてて
 そう言えば、愛海は合間にミルクティーやレモンティーも飲んでいるようだ。


 ボクは普段、自分のバイトの時間を除いてほとんどと言っていいほど愛海と一緒にいるので、互いの趣向は分かりきっていた。


 ボクがコーヒーや炭酸飲料など、刺激の強いものをたくさん飲むのに対し、彼女は紅茶類などをメインに飲んでいるようだ。


 お互い、キスしたり触れ合ったりするごとにそういったものの臭気が漂っていて、ボクたちは一体感を得られるのだった。


 ボクは自分自身がこの街の人間たちを嫌っていると言ったが、実際、接する相手も同様のようだ。


 互いに嫌い合っていて、話がまるでかみ合わない。


 それに学校とバイト、それに合間を縫って買い物に出かけるぐらいで、ボクはこの街の人間とは基本的に接しない。


 だから、別に何を言われようが関係なかった。


 だが、同じ土地にいるからだろう、ボクにとって最大の苦痛と言えば、そういった、街の中でも噂をしたがる人間たちで、悠洋大の学生の中にもその手の連中はいるにはいる。


 要は楽しみたいだけなのだ。
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