ずっと抱いてて
第5章
     5
 目が覚めたボクはシートからゆっくりと起き上がり、大きく伸びをして、車外に出た。


 外は絶えず海風が吹いていて、心地よい。


 ボクが近くに設置してある自販機で冷たいコーヒーと紅茶を一つずつ買い、車へと戻ってくる。


 愛海が起き出していて、ボクと目が合うと、笑いかけてきた。


「おう、おはよう」


「ああ、おはよう。いい朝ね」


「ああ。晴れてるし、海楽しむのには絶好だな」


「でも、祐太授業あるでしょ?戻らないと」


「そうだな」


 ボクが頷き、冷えた紅茶の缶を彼女に手渡す。


 受け取った愛海がプルトップを捻り開け、一口、もう一口と呷った。


 ゆっくりとした夏の時間が流れていく。
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