ずっと抱いてて
第7章
    7
 愛海の住むワンルームマンションに入った瞬間、彼女は履いていたヒールを脱ぎ、靴下を手に取って、ゆっくりと風呂場へ向かった。


 バスルームの横に洗濯機があり、そこに汚れ物などを入れる籠が置いてあるらしい。


 ボクがしばらくじっとしていると、リビングに入ってきた彼女が、


「何か飲む?」


 と訊いてきた。


「じゃあ、コーヒー」


「濃い目?それとも薄くする?」


「濃い目がいいな。俺、エスプレッソばっかだから」


「祐太もだいぶ疲れてるみたいね」


「ああ。第一、新学期っていうと慣れないからな。先生たちが入れ替わる頃だし、新しい授業も始まるからね」


「じゃあ、しっかり目が覚めるようなコーヒー淹れてあげるから」

< 36 / 108 >

この作品をシェア

pagetop