ずっと抱いてて
第10章
     10
 明け方、ボクはうつらうつらしながら、ベッド上で眠っていた。


 先に愛海が起き出し、ボクの部屋の勝手をすっかり知っているからか、


「コーヒーあったわよね?」


 とベッドにいるボクに訊いてくる。


「ああ」


「どこにあるか分かる?」


 どうやら彼女は普段掛けているメガネを掛けていない状態で、何も見えないらしい。


 だから訊いてくるのだ。


「確か、棚の上の方だったと思う。探してみて」


 ボクは正直なところ眠たくて、まだ休んでいたかった。


 愛海は一応コーヒーのビンを探り当てたらしく、


「あ、あったあった。これね」

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