ずっと抱いてて
 と面と向かって言われ、それから先、強烈な人間不信に陥ってしまった。


 自宅アパートにこもりがちになって外出すらままならなくなったボクに、手を差し伸べてくれたのは何を隠そう愛海本人だった。


「一緒に病院行こう」


 その一言を言ってくれるだけでもボクの抱えていた痛みは半減される。


 それぐらい自己臭というのは辛く、深刻な症状なのだった。


 何せ、よほど大切な人意外は誰も信用できなくなってしまう類の病気なのだから……。




< 79 / 108 >

この作品をシェア

pagetop