Secret Prince
俺の手を握り返すと、春日は、意地の悪い笑みを浮かべながら、こう言った。



「何で猫被ってんのかは知らねえが、……その格好も悪くは……。」



言いながら、俺の姿を上から下まで、まじまじと眺めてくる春日先生に、
俺は、心底突っ込みたくなった。
あ、胸倉を掴みながら、っていうオプション付きでな。
その代わり、先生に聞こえるくらい、盛大な溜息をついてやった。



「ふざけんな、あんたの方こそホストみてえな顔しやがって。」



俺の内心は、きっとこんな感じだ。






















「おら、ぼーっとしてんな。
 正直、もうすぐ、朝礼が始まる時間だ。
 ……そんな顔してねえで、行くぞ。」


そう言って、出席簿で、軽く俺の額を小突いた。
これでも、俺は、……いや、今ここで俺の側面を明るみにする気はないが、
……あんた、何て事してくれんだよ。
事務所に訴えたら、先生、きっと退職処分になるよ?
しかも、俺の返事を聞く前に、春日は、俺の手を引いて歩き出していた。
もう、何か、先生をつけて呼ぶ気も失せたから、呼び捨てにしておく事にした。
春日に気付かれないように、俺は、意地の悪い笑みを浮かべていた。
こんな馴れ合いもたまには、……なんて思っていたのかもしれない。










そして、俺は、春日に連れられ、教室へと向かった。



「それにしても、2-Sは、勉強にしてもスポーツにしても、
 全部が出来ないと、めったに編入なんか出来ないクラスなんだが、
 ……ま、その平凡面の裏に一体何が隠されているのか、楽しみにしてるぜ?」


歩きながら、春日は言った。
まぁ、俺は、自分で言うのも何だが、頭は悪くないし、
運動神経も、……いや、それ以前に、身体能力に関しては、
職業柄、並み外れた面がある。
ついでに、新聞を賑わす職業でもあるから、それなりに財力もある。
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