Secret Prince
だが、そこは上手く、ポーカーフェイスで切り抜ける。
それが、俺の、もう1つの職業上の特徴かもしれない。
際どい所を突かれたら、意趣返し、つまりは、今の場合は、言葉で制する。

















「ふふ、まぁ、先程も言いましたが、必要以上に踏み込まれなければ、
 俺は、別に構わないので。
 それよりも、雅先輩の方が、俺なんかよりも、余程、辛い過去を背負っているのでは
 ないですか?」



そして、逆に、相手の弱点を握る。
皮肉な事だが、弱点を持つ者は脆い。
鋭く突き刺せば、簡単に揺らいでしまう。
別に、俺は、雅先輩を傷つけたいわけじゃない。
ただ、この場を、どうにかして切り抜けたいだけだ。

















俺は、傷の舐め合いなんてしようとは思ってない。
無論、これっぽっちも、……分かってもらえるなんて思っていないから。
この、有り余る孤独も、愛情を与えてもらえなかった躯も、心も。
きっと、そんな事をした所で、満たされて、心の底から癒されるような、
生易しい問題でもないから。







「…………根拠は?」


つい今までとは全く違う、凍てついた口調。
探るような視線を俺に向けつつ、それでいて、試すように問いかけてくる。
残念ながら、俺は、その程度じゃ動じないよ。
答えは、俺が雅先輩に抱いた印象。







「雅先輩、……幼い頃に、何か辛い事があったんじゃないですか?
 たとえば、そうですね、…………親に捨てられたとか?」


口調は柔らかいが、言ってる事は、つくづく、えげつないと思う。
しかも、問いかけには答えず、淡々と言葉を紡ぐのみ。
これが、駆け引きっていうものでしょ?
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