盲目の天使

旅先での簡素な食事と違い、机の上には、何種類もの食べ物が入った皿が並んでいる。

ルシルの見たこともない食べ物もあり、オルメの知識を借りながら説明を終えた。



こんなにたくさんの種類のものを、一度聞いただけで、本当に覚えられるのかしら。



オルメは、半信半疑で、リリティスの様子を凝視している。

偉そうに言っておきながら、途中であきらめて、食べさせろというのではないか。


オルメの、疑うような瞳にさらされながらも、

リリティスは、迷うことなく食事に手をつけると、

お皿の位置を手で確認しながら、少しもこぼすことなく、きれいに食べていく。


その姿は、まるで見えているかのようで、しかも非常に美しい仕草だった。



まぁ!たった一度の説明で、全て覚えてしまわれたのだわ。



こぼしてみっともない姿になるのでは、と危惧して、他の侍女をさがらせたオルメは、

その見事な手際に感心した。



< 100 / 486 >

この作品をシェア

pagetop