盲目の天使
旅先での簡素な食事と違い、机の上には、何種類もの食べ物が入った皿が並んでいる。
ルシルの見たこともない食べ物もあり、オルメの知識を借りながら説明を終えた。
こんなにたくさんの種類のものを、一度聞いただけで、本当に覚えられるのかしら。
オルメは、半信半疑で、リリティスの様子を凝視している。
偉そうに言っておきながら、途中であきらめて、食べさせろというのではないか。
オルメの、疑うような瞳にさらされながらも、
リリティスは、迷うことなく食事に手をつけると、
お皿の位置を手で確認しながら、少しもこぼすことなく、きれいに食べていく。
その姿は、まるで見えているかのようで、しかも非常に美しい仕草だった。
まぁ!たった一度の説明で、全て覚えてしまわれたのだわ。
こぼしてみっともない姿になるのでは、と危惧して、他の侍女をさがらせたオルメは、
その見事な手際に感心した。