盲目の天使
ちょうど食事を終えたとき、カルレインが部屋に入ってきた。
またしても、取次ぎの侍女が間に合わず、
お待ちください、などと言って、おろおろしながらカルレインの後ろを歩いてくる。
オルメは、カルレインに説教をしようとお腹に力を入れたが、
声を張り上げる前に、リリティスの柔らかい声が、カルレインをたしなめた。
「カルレイン様。勝手に部屋に入っては、侍女たちが困ってしまいます。
ちゃんと、取次ぎをさせてあげてくださいませ」
「なんで、俺だとわかった?」
そういえば、まだ名乗ってもいないのに。
ルシルとオルメも、首をひねった。
「とても尊大な足音が、しておりますわ。
後ろから、侍女たちが慌てて、小走りで追いかける音も聞こえます」
リリティスは、くすくすと笑いながら、
後から入ってきた侍女たちに、取次ぎをありがとう、と声をかけた。
侍女たちは、困惑しながらも、軽く会釈をして下がっていった。