盲目の天使
さわさわと風が通り抜け、木々の香りがリリティスの鼻先をくすぐる。
その時、リリティスは、背後に人の気配を感じた。
「そこにいるのは、どなたですか?」
リリティスの声に、オルメもルシルもはっとする。
周囲を見渡すが、どこにも人影は見えない。
と、
「すみません、盗み聞きをするつもりではなかったのですが・・・」
一人の青年が、木の裏からゆっくりと顔を出した。
「まぁ!アルシオン様!」
オルメがはじかれたように、叫んだ。
・・アルシオン様?