盲目の天使
ルシルは泣くばかりで、次の言葉を継げなくなった。
マーズレンが、ルシルを部屋から連れ出そうとカルレインに背を向けると、
待て、とカルレインが制した。
「ルシル。お前は、リリティスが俺を想っているというのか」
侮蔑の言葉を投げられたのに、カルレインの声に、不思議と怒りはない。
「あとは・・・、直接リリティス様にお尋ねください」
ルシルは、鼻をすすりながら、必死に言葉を探した。
「だが、リリティスは、アルシオンと抱き合っていたのだぞ」
またしても、そのときの光景が頭に浮かんで、カルレインの顔が歪む。
カルレイン様、とルシルは、まるで、ひどく年上の、母親のような口調で、呼びかけた。
「リリティス様は、目がお見えにならないのですよ。
例え、口付けされたとしても、それに気づくのは時間がかかります。
抱きしめられたからといって、逃げることなどは、不可能だとお思いになりませんか?
そのことは、カルレイン様が、一番良くご存知のはずでしょう」