盲目の天使

ロキ大臣は、白いひげを触りながら、ゆっくりと王に近づいて、膝をおった。


「恐れながら、まずは疑いのあるものを拘束し、慎重に証拠を探すべきかと存じます。

カナンの王女は、確かに王の杯に酒を注ぎました。


しかし、最初から毒が入っていた可能性も、否定はできませんし、

もしかしたら、遅効性の毒が別の食べ物に入っていて、

たまたま毒見が酒を飲んだ後に、死んだ可能性もあります。


まずは、ひとつひとつ、可能性を吟味して確認し、

それぞれの可能性を、否定していくべきでしょう」


ロキ大臣の言葉に、皆が納得したように頷いた。


「よし、ではまず、疑いのあるものを全て拘束する。

カナンの王女、酒を持ってきた侍女、酒を保管していた場所にいた者、

一人残らず、全て捕らえよ」


酔ってはいても、酒に溺れることはない。

プロンが、腹から威厳のある声で命じると、兵士たちが、ハッと短く返事をした。


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