盲目の天使

その場にいる誰もが、王の命令をもっともなことだと受け止めたが。


「お待ちください、父上!」


ただ一人、カルレインだけは、どうしても納得がいかなかった。


罪もない、か弱い女を、牢へ入れるなど、どうしてできよう。


「そこをお退きください、カルレイン様。

王女を捕らえよとの、王命です」


兵士たちは、リリティスを捕らえようと二人を囲んだが、

カルレインは、彼女を渡そうとしない。


「きゃっ!」


リリティスの背後から近づいた兵士が、リリティスの腕を引っ張って立たせようとする。

とたんに、カルレインの腕が、兵士の腕を捕らえ、

兵士は空中を舞うようにして、地面に倒された。






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